今回は、日本国憲法について、入試試験で出題された問題を紹介いたします。
難易度は公立高校入試レベル。安保関連法案が衆議院を通過した今、もう一度わたしたちの憲法を見つめなおしてみたいと思います。
では、さっそく問題スタート!
<入試問題より>
日本国憲法では、国民主権、基本的人権の尊重 平和主義の3つの基本原理が定められている。a基本的人権の尊重では、平等権や自由権、社会権 、人権を守るための権利などが保障されている。また 、憲法が直接規定してはいないが、社会の変化にともなって、b「新しい人権」が主張されるようになっている。
(1)aに関して、日本国憲法に定められたさまざまな基本的人権について述べた文として
正しいものを、次のア~エの中から1つ選び、記号で答えなさい。
ア 自営業を営んでいる家庭では、子どもに義務教育を受けさせずに
家業を継がせることができる。
イ 労働三権の1つである団体行動権とは、労働条件をめぐって使用者と 労働者が話し合いをすることができる権利である。
ウ 自由権は国家によって侵されることがあってはならないものなので、 制約を加えることはできない。
エ 公務員の不法行為によって損害を受けた場合、その損害の回復を求める権利が
請求権の1つとして認められている。
(2)bに関して、現在、新しい人権の1つとして、「知る権利」が主張されている。
「知る権利」とは、国民が、国や地方公共団体の持つ情報の公開を求めることが
できる権利である。この権利はなぜ主張されるようになったのか、民主政治との
関わりにふれながら、次の形式に従って理由を簡潔に書きなさい。
国民が情報を得て、( )ために必要だから。
(3)日本国憲法に定められている天皇の国事行為にあてはまらないものを
次のア~エの中か ら1つ選び、記号で答えなさい。
ア 法律を公布すること イ 衆議院を解散すること
ウ 最高裁判所の長官を指名すること エ 同会を召集すること
(4)次のア~エの日本国憲法の条文の中から、社会権に関するものとして
最も適するものを1つ選び、記号で答えなさい。
ア すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受
ける権利を有する。
イ 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
ウ 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない。
エ 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
ここで、日本国憲法について簡単にまとめてみましょう!
<日本国憲法の制定>
1.大日本帝国憲法の制定
伊藤博文らが、君主権の強いプロシア憲法(ドイツ帝国憲法・プロイセン憲法)を参考に草案を作成。1889年、明治天皇によって発布されました。
2.日本国憲法の制定
政府の作成した草案は、民主化が不十分と連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)に拒否され、独自の草案が提示。それをもとに、政府は憲法改定案を発表。1946年(昭和21年)11月3日に公布。1947年5月3日から施行されました。
3.憲法と立憲主義
憲法は、人権の保障と国の政治の仕組みの2つの内容で構成されています。これは政治の仕組みを定めることで政治権力を制限し、人権を保障しようとするものとなっています。
そのためにはあらゆる政治も、憲法にもとづいて行わなければなりません。この原則を『立憲主義(立憲政治)』といいます。
憲法とは、『国の根本法規(主権の所在や政治の仕組みなど、国の根本(基本)的なあり方を定めた法)』であり、『国の最高法規(すべての法のなかで最上級の法)』です。憲法に反するすべての法律や命令などは無効となります。
<日本国憲法の基本原則>
1.日本国憲法の基本原則
日本国憲法は、次の3つの考え方を基本的な原則としています。
① 国民主権
② 基本的人権の尊重
③ 平和主義
国民主権・・・国の政治の決定権は国民にあるということ。天皇は日本国や日本国民統合の象徴。(大日本帝国憲法のもとでは、天皇に主権がありました。)
基本的人権の尊重・・・人間が生まれながらにしてもっている権利(基本的人権)を不可侵・永久の権利として保障。
平和主義・・・世界の恒久平和のために努力する考え。憲法の前文で国際協調主義を宣言し、第9条で戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を定めています。
2.憲法の改正
憲法は国の最高法規であることから、憲法の改正には法律の改正よりも厳格な手続きが定められています。具体的な手続きは、憲法第96条をもとに、制定された憲法改正に関する国民投票法に定められています。
~改定への流れ~
①内閣または国会議員が憲法改正原案を提出
↓
②衆参各議員の総議員の3分の2以上の賛成で発議
↓
③国民投票によって過半数の賛成が必要
↓
④天皇が国民の名で公布
<正解>
(1)エ
(2)(例)民主的な政治を進め、国や地方公共団体を監視し、その不正をなくす
(3)ウ
(4)ア
4問中2問以上間違いがある場合は、人権の尊重と日本国憲法について理解不足であるといえます。政治分野はほかにも、国会や内閣、裁判所、選挙、地方自治と確認すべき内容がたくさんあります。経済を学ぶ上でも、この夏でしっかりと基本をおさえていきましょう!
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